わざわざ
先日、吉祥寺に移転する以前にマジェルカがあった杉並区内で活動されている福祉施設
の職員さん向けの研修にお呼び頂きお話をさせて頂く機会を頂きました。
事前に所長とお打ち合わせ＆ヒアリングをさせて頂いた際に聞いた今回の研修の意味を
かいつまんでまとめると、忙しさや、また、そこでの経験を重ねた事による慣れなども
重なる事で、職員さんの仕事が日々のルーティンをこなす事に陥っている部分
があるのではないかという事、そんな中でもっと利用者さん、ひいてはそのご家族に
とっての満足値を高めるという事を改めて意識してもらいたいというものでした。
「モノ作り」だとか「売場づくり」といったテーマで呼んで頂き、福祉の現場で実際に
それらに関わっている方々や関係者向けにお話をする機会が多かったのですが、今回は
そういう内容ではありません。
こちらの施設ではモノ作りだけではなく、下請け作業も行っていますので、20名程
のスタッフさんの中でもマジェルカとも関わる自主製品づくりに携わっているのはごく
一部の方だけ。
さて、どういう内容にしましょうか。
参加型のワークショップもありかな、などとも考えましたが結局は
「マジェルカを始めようと思ったいきさつから現在に至るまでの間で感じたあれこれ」や
「お客様や施設の方、障害当事者などマジェルカを通して出会う方々」
などという内容。
いってみれば３年ちょっとの間、障害者施設で作られる雑貨ショップである「マジェルカ」
をやってきた今までの体験のお話しをかいつまんでするだけというごくシンプルな内容。
先に所長から聞いた研修の意味を考えながらも、その辺で売ってる本を読めば分かるような
内容や、他の誰かでも話せるような内容ではなく、他ではあまり見られない障害者福祉との
関わり方をしてきた今の私の立場だからこそ伝えられる内容は何かと考えた結果です。
一部は過去このブログでもアレコレと述べてきたような事とも重なる内容ですが、今ここで
その内容をお伝えする事は別にしません。（もし聞きたいと思う方は呼んで下さい(笑)）
ただ今回、私自身にとってもマジェルカにとっても改めて確信となる事柄があったのでそれ
だけを今ここで。
それは、「マジェルカに来られる様々な方」に関してお話しをしていたパートでした。
そこでの話は、福祉関係以外のお客様もたくさん来られる、というよりむしろそちらの方が
多い吉祥寺の「マジェルカ」で、そういう一般のお客様がマジェルカの商品を目にした時に、
又、それらが障害者施設で作られていると知った時にどのような反応をされるか、そしてそこ
から私が感じている事は何か、といった内容。
他方でマジェルカが障害者施設の商品専門のショップだと知って来て下さる方も当然いて、
その多くは実際に障害者と関わっているという方々で、今回の研修相手同様の施設関係者も
あれば、障害のある家族を持つ方、また障害当事者の方も来て下さる。
一般の方とは違い、そういった方々がマジェルカではどのような反応をされるのか、
どのようなお話をされるのかかというお話も。
そんなパートの中で今回私が一つのパターンとしてご紹介したのが、マジェルカで商品を扱って
いる施設に通う利用者さんが来た時に「わざわざ自分で作ったモノを買う」という事。
つい先月もですが、とあるマジェルカのパートナー施設に通う少し年配の女性の利用者さんが
来て下さいました。
以前にもお会いしてお顔は見知っていたので分かりましたが、今回はギターを担いだ女子高生
が一緒。
そしてマジェルカに並んでいる沢山の雑貨の中からご自分の作った可愛らしいアクセサリーを
手にしてそのJKに「コレ買ってあげる」と。
もしかしてお孫さんかな・・・とも思いましたが、その子のすごく遠慮している様子などを
見るとそうでもないみたいなのはわかります。
聞くと、マジェルカに来る道が分からなくなってしまい、駅前でその女子高生に道を尋ねた
ところ、スマホで調べてくれたた上にわざわざ店まで連れて来てくれたそう。
「これ私が作ったのよ。」といいながら彼女に買ってあげようするのですが、
「ヒマで時間あっただけなんで・・・」とかたくなに遠慮するJK。
私も事情を聞いて「せっかくだから遠慮しないでもらいなヨ。」と。
後ほどですが、twitter（ツイッター）でその女子高生がその件を嬉しい出来事として、
もらったアクセサリーの写真も一緒にUPしてくれていたのを見付けてなんだか嬉しく
なりました。
そんな風に、マジェルカに並ぶモノを作っている利用者さんがマジェルカまで来てくれて
「わざわざ自分で作ったモノを買う」という行為を目にするのはしょっちゅうではないに
しろこれまでに何度か目にしています。
実はそれを最初に目にしたシーンというのが今回の研修相手の施設に通う利用者さんの
行為だったのです。
それは２年程前にマジェルカがある商業施設に出店させてもらった際の事でした。
有名な商業施設です。
親御さんと一緒にAさんは来てくれました。
他の接客の合間でふと彼女を見ると、固まったようになって目の前の棚の一点をジーッと
見つめている。
「！？」
そう、その視線の先にあったのは彼女達が作った商品でした。
ものすごく真剣な、ちょっと怖いくらいに真剣な表情に
「アレ！？何かマズイ事したかな」
と自分が何か彼女が気に入らない並べ方でもしたのかと少し焦ったのを覚えています。
しかしその後彼女はおもむろに手を伸ばして自分の作ったその商品をレジに持って来た
のです。
その時の私はその行為をとても不思議に感じました。
だって、ウチではその商品を彼女が働く施設から仕入れて利益を乗せて高くして販売
しているのですよ。
その商品はその施設では普段もっと安く売っているのです。
施設で欲しいって言えば作っている本人だもの材料費だけとか格安で手に入るんじゃ？
それにいつも見慣れたそれだけでなくてココには普段見慣れない色んなカワイイ雑貨も
あるじゃない。
それなのに何故わざわざソレを？
何故わざわざココで？
不思議に思ったのを覚えています。
でもそれには意味があるんですよね。
沢山の人が目にする華やかな売り場に自分が作ったモノが商品として並ぶという事。
それ一つをとっても。
今回の研修の中で私はこういったシーンをマジェルカで日々目にしてきた事を、
「私は皆さんが施設で日々接している利用者さんやご家族の知らない面を目に
する機会に恵まれています。」とお話しさせて頂きました。
そんな私の立場だからこそ伝えられる事があるという意味ですが、それに対して
あるスタッフさんから
「私たちは逆にマジェルカさんの立場では見る事が出来ない彼女達を知っています。」
として伝えてくれたのは、Aさんがその出来事の後で明らかに仕事への取り組みの態度が
変わったという事でした。
元々真面目な方だそうですが、いい加減なモノは作りたくない、出したくないという意識
が強くなったという事をスタッフさん達が見ていても感じられるようになったそう。
ちなみにAさんが抱える障害はそんなに重くはないのかもしれませんがコミュニケーション
も振る舞いも、見た目にもはっきり障害があると分かる方です。
(なぜこんな説明を差し挟むかというと、何かが出来る(したいと考える)というと、
それは障害が軽いからでしょ…という方もいらっしゃるので)
さて、障害のある施設の利用者さんたちにとって、働くっていうのはどういう事なの
でしょうか。
障害の無い私たちとそこにそんなに違いはあるのでしょうか？
それを本気で理解する事なくては彼ら彼女らの生活の中の「働く」という部分を支援
する事は難しいのでは？
また、生活の中から「働く」という事は切り取って考えてしまえるものでしょうか？
私は一時仕事に就けなかった時に精神的にとても追い込まれた経験があります。
会場にいる男性職員さんに訊いてみると、彼にも同じような経験がおありだと。
そこでニコリと「だったらねぇ」と私。
何かを欲している相手に、そこを満たすべくサービスが提供出来ていないとすれば、
そもそも何を欲しているかに気付く事が出来なければそのサービスの満足値を上げる
など図れないのではないでしょうか。
という意図でしたが、思わぬ場内からの援護もあって、その他の方々にも少しリアルに
考えて頂く事が出来たかな、と。
それもですが、研修講師だなんていいながら、マジェルカが果たせている、また果たせる
役割というものを改めて確信させてもらえた機会にもなりました。
だからマジェルカはこれまで様々な商業施設に出店もしてきましたし吉祥寺に移転もしました。
それでAさんのように誰かのモチベーションをあげる事が出来ていればそれは本望ですし、
しんどくてもやっている甲斐があるっていうものです。
その気持ちを新たに出来た事が私にとってもこれからの力になった研修でしたとさ。。。
さて、ただいまマジェルカにて開催中のクリスマスフェアと地下スペースで展示中の
「阿山君の世界」展は共に12/25までと残り日数僅かになりました。
阿山君、この機会を逃すとコレだけの作品を見る機会はいつになるやら。
そういえば阿山君とご両親も展示初日に来てくれて今回初めての試みで描いた販売用の作品を
マジェルカでわざわざ買って下さったのでした。。。
今週の12/23は本来なら定休の火曜日ですが営業しますので是非お越し下さい。
※年末年始は12/29～1/4までお休みとなります。
の職員さん向けの研修にお呼び頂きお話をさせて頂く機会を頂きました。
事前に所長とお打ち合わせ＆ヒアリングをさせて頂いた際に聞いた今回の研修の意味を
かいつまんでまとめると、忙しさや、また、そこでの経験を重ねた事による慣れなども
重なる事で、職員さんの仕事が日々のルーティンをこなす事に陥っている部分
があるのではないかという事、そんな中でもっと利用者さん、ひいてはそのご家族に
とっての満足値を高めるという事を改めて意識してもらいたいというものでした。
「モノ作り」だとか「売場づくり」といったテーマで呼んで頂き、福祉の現場で実際に
それらに関わっている方々や関係者向けにお話をする機会が多かったのですが、今回は
そういう内容ではありません。
こちらの施設ではモノ作りだけではなく、下請け作業も行っていますので、20名程
のスタッフさんの中でもマジェルカとも関わる自主製品づくりに携わっているのはごく
一部の方だけ。
さて、どういう内容にしましょうか。
参加型のワークショップもありかな、などとも考えましたが結局は
「マジェルカを始めようと思ったいきさつから現在に至るまでの間で感じたあれこれ」や
「お客様や施設の方、障害当事者などマジェルカを通して出会う方々」
などという内容。
いってみれば３年ちょっとの間、障害者施設で作られる雑貨ショップである「マジェルカ」
をやってきた今までの体験のお話しをかいつまんでするだけというごくシンプルな内容。
先に所長から聞いた研修の意味を考えながらも、その辺で売ってる本を読めば分かるような
内容や、他の誰かでも話せるような内容ではなく、他ではあまり見られない障害者福祉との
関わり方をしてきた今の私の立場だからこそ伝えられる内容は何かと考えた結果です。
一部は過去このブログでもアレコレと述べてきたような事とも重なる内容ですが、今ここで
その内容をお伝えする事は別にしません。（もし聞きたいと思う方は呼んで下さい(笑)）
ただ今回、私自身にとってもマジェルカにとっても改めて確信となる事柄があったのでそれ
だけを今ここで。
それは、「マジェルカに来られる様々な方」に関してお話しをしていたパートでした。
そこでの話は、福祉関係以外のお客様もたくさん来られる、というよりむしろそちらの方が
多い吉祥寺の「マジェルカ」で、そういう一般のお客様がマジェルカの商品を目にした時に、
又、それらが障害者施設で作られていると知った時にどのような反応をされるか、そしてそこ
から私が感じている事は何か、といった内容。
他方でマジェルカが障害者施設の商品専門のショップだと知って来て下さる方も当然いて、
その多くは実際に障害者と関わっているという方々で、今回の研修相手同様の施設関係者も
あれば、障害のある家族を持つ方、また障害当事者の方も来て下さる。
一般の方とは違い、そういった方々がマジェルカではどのような反応をされるのか、
どのようなお話をされるのかかというお話も。
そんなパートの中で今回私が一つのパターンとしてご紹介したのが、マジェルカで商品を扱って
いる施設に通う利用者さんが来た時に「わざわざ自分で作ったモノを買う」という事。
つい先月もですが、とあるマジェルカのパートナー施設に通う少し年配の女性の利用者さんが
来て下さいました。
以前にもお会いしてお顔は見知っていたので分かりましたが、今回はギターを担いだ女子高生
が一緒。
そしてマジェルカに並んでいる沢山の雑貨の中からご自分の作った可愛らしいアクセサリーを
手にしてそのJKに「コレ買ってあげる」と。
もしかしてお孫さんかな・・・とも思いましたが、その子のすごく遠慮している様子などを
見るとそうでもないみたいなのはわかります。
聞くと、マジェルカに来る道が分からなくなってしまい、駅前でその女子高生に道を尋ねた
ところ、スマホで調べてくれたた上にわざわざ店まで連れて来てくれたそう。
「これ私が作ったのよ。」といいながら彼女に買ってあげようするのですが、
「ヒマで時間あっただけなんで・・・」とかたくなに遠慮するJK。
私も事情を聞いて「せっかくだから遠慮しないでもらいなヨ。」と。
後ほどですが、twitter（ツイッター）でその女子高生がその件を嬉しい出来事として、
もらったアクセサリーの写真も一緒にUPしてくれていたのを見付けてなんだか嬉しく
なりました。
そんな風に、マジェルカに並ぶモノを作っている利用者さんがマジェルカまで来てくれて
「わざわざ自分で作ったモノを買う」という行為を目にするのはしょっちゅうではないに
しろこれまでに何度か目にしています。
実はそれを最初に目にしたシーンというのが今回の研修相手の施設に通う利用者さんの
行為だったのです。
それは２年程前にマジェルカがある商業施設に出店させてもらった際の事でした。
有名な商業施設です。
親御さんと一緒にAさんは来てくれました。
他の接客の合間でふと彼女を見ると、固まったようになって目の前の棚の一点をジーッと
見つめている。
「！？」
そう、その視線の先にあったのは彼女達が作った商品でした。
ものすごく真剣な、ちょっと怖いくらいに真剣な表情に
「アレ！？何かマズイ事したかな」
と自分が何か彼女が気に入らない並べ方でもしたのかと少し焦ったのを覚えています。
しかしその後彼女はおもむろに手を伸ばして自分の作ったその商品をレジに持って来た
のです。
その時の私はその行為をとても不思議に感じました。
だって、ウチではその商品を彼女が働く施設から仕入れて利益を乗せて高くして販売
しているのですよ。
その商品はその施設では普段もっと安く売っているのです。
施設で欲しいって言えば作っている本人だもの材料費だけとか格安で手に入るんじゃ？
それにいつも見慣れたそれだけでなくてココには普段見慣れない色んなカワイイ雑貨も
あるじゃない。
それなのに何故わざわざソレを？
何故わざわざココで？
不思議に思ったのを覚えています。
でもそれには意味があるんですよね。
沢山の人が目にする華やかな売り場に自分が作ったモノが商品として並ぶという事。
それ一つをとっても。
今回の研修の中で私はこういったシーンをマジェルカで日々目にしてきた事を、
「私は皆さんが施設で日々接している利用者さんやご家族の知らない面を目に
する機会に恵まれています。」とお話しさせて頂きました。
そんな私の立場だからこそ伝えられる事があるという意味ですが、それに対して
あるスタッフさんから
「私たちは逆にマジェルカさんの立場では見る事が出来ない彼女達を知っています。」
として伝えてくれたのは、Aさんがその出来事の後で明らかに仕事への取り組みの態度が
変わったという事でした。
元々真面目な方だそうですが、いい加減なモノは作りたくない、出したくないという意識
が強くなったという事をスタッフさん達が見ていても感じられるようになったそう。
ちなみにAさんが抱える障害はそんなに重くはないのかもしれませんがコミュニケーション
も振る舞いも、見た目にもはっきり障害があると分かる方です。
(なぜこんな説明を差し挟むかというと、何かが出来る(したいと考える)というと、
それは障害が軽いからでしょ…という方もいらっしゃるので)
さて、障害のある施設の利用者さんたちにとって、働くっていうのはどういう事なの
でしょうか。
障害の無い私たちとそこにそんなに違いはあるのでしょうか？
それを本気で理解する事なくては彼ら彼女らの生活の中の「働く」という部分を支援
する事は難しいのでは？
また、生活の中から「働く」という事は切り取って考えてしまえるものでしょうか？
私は一時仕事に就けなかった時に精神的にとても追い込まれた経験があります。
会場にいる男性職員さんに訊いてみると、彼にも同じような経験がおありだと。
そこでニコリと「だったらねぇ」と私。
何かを欲している相手に、そこを満たすべくサービスが提供出来ていないとすれば、
そもそも何を欲しているかに気付く事が出来なければそのサービスの満足値を上げる
など図れないのではないでしょうか。
という意図でしたが、思わぬ場内からの援護もあって、その他の方々にも少しリアルに
考えて頂く事が出来たかな、と。
それもですが、研修講師だなんていいながら、マジェルカが果たせている、また果たせる
役割というものを改めて確信させてもらえた機会にもなりました。
だからマジェルカはこれまで様々な商業施設に出店もしてきましたし吉祥寺に移転もしました。
それでAさんのように誰かのモチベーションをあげる事が出来ていればそれは本望ですし、
しんどくてもやっている甲斐があるっていうものです。
その気持ちを新たに出来た事が私にとってもこれからの力になった研修でしたとさ。。。
さて、ただいまマジェルカにて開催中のクリスマスフェアと地下スペースで展示中の
「阿山君の世界」展は共に12/25までと残り日数僅かになりました。
阿山君、この機会を逃すとコレだけの作品を見る機会はいつになるやら。
そういえば阿山君とご両親も展示初日に来てくれて今回初めての試みで描いた販売用の作品を
マジェルカでわざわざ買って下さったのでした。。。
今週の12/23は本来なら定休の火曜日ですが営業しますので是非お越し下さい。
※年末年始は12/29～1/4までお休みとなります。
